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眼・耳の後遺障害

1.眼の後遺障害

眼の後遺障害は、交通事故で顔や眼球に打撲を受けたり、脳挫傷などによる眼球や視神経に損傷が発生の打撲、顔面の打撲、頭部外傷による脳挫傷などにより眼球や視神経が損傷した場合に生じることが多いといえます。


視力が落ちた場合(視力障害)

交通事故により、一眼の視力が0.6以下になり、回復の見込みがない場合、後遺障害と認定される可能性が高いといえます。等級は、1級1号から13級まで、程度に応じて評価されることになります。ただし、この場合、視力の低下が交通事故によるものである(相当因果関係がある)ことを証明する必要があります。そのため、等級認定申請に際し、事故前に受けた健康診断等における視力検査表を提出する必要があります。


眼のピントが合いにくくなった場合(調整機能障害)

交通事故により眼のピントが合いにくくなった場合にも、後遺障害として等級が認定される可能性があります。ただし、眼のピントは、加齢とともに合いにくくなるものです。そのため、当事者のピント調整力が、一般的な当該年齢の調整力と比較してどの程度劣っているかを調べた上で、等級が評価されることになります。該当し得る後遺障害等級は、11級1号から12級1号です。


視野の角度が狭くなった場合(眼球運動障害、複視など)の場合

交通事故によって、眼球を動かす筋肉(外視筋)が麻痺し、 眼球の運動に障害が出れば、眼の注視野眼球の角度が制限されます。この場合も、11級1号から12級1号までの後遺障害と認定される可能性があります。同様の原因で、複視(一つの物が二重にずれて見えること)も生じ得ます。「ヘススクリーンテスト」という検査を受けていただき、複視と認められた場合には、9級3号から13級3号までの後遺障害と認定される可能性があります。


その他

たとえば、視野狭窄、半盲症、視野変状(暗点・視野欠損)などが生じた場合には、検査を受けていただき、その程度に応じて、9級3号から13級3号までの後遺障害と認定される可能性があります。また、まぶたに関しても、後遺障害が認められることがあります。まぶたに欠損が生じたり、運動障害が生じた場合などです。

2.耳の後遺障害

交通事故によって、聴力が落ちたり、常に耳鳴りが生じたり、また、耳殻欠損が生じた場合も、後遺障害として等級認定を得られることがあります。

交通事故の後、聴力の低下や難聴等が生じた場合には、耳鼻科等で検査を受けていただき、客観的な証拠を得て等級認定申請を行う必要があります。検査の結果に応じて、後遺障害等級が認定されることになります。

常時耳鳴については、検査を受けていただき、その存在が医学的他覚的に認められる場合には12級が認定される可能性があります。一方、医学的他覚的な所見はないものの、耳鳴のあることについて合理的に説明しえるものは、14級と認定される可能性があります。

次に、交通事故によって、耳たぶ(耳殻)の軟骨部分を半分以上失った場合には、後遺障害12級4号と認められる可能性があるでしょう。仮に、軟骨部分の半分以下であっても、非常に目立つ欠損であり、これが「外貌に醜状を残すもの」と認められれば、後遺障害12級14号適用となる可能性はあります。

ただし、実際の事件においては、耳鳴りは、事故前から治療を受けており、事故によってそれが悪化した、という訴えが多いところ、このように、事故前から治療を受けていたことがカルテ等から明らかであれば、後遺障害として認定されにくくなる傾向があります。この点については、具体的な事案の詳細が重要になりますので、一度弁護士に相談されることをお勧めします。