- CRPSの後遺障害認定と診断基準を巡る問題についてご説明いたします
1. CRPSと後遺障害認定
CRPSが自賠責保険の等級認定基準における後遺障害(7級,9級,または12級)として認定されるか否かについては,RSDに関して発せられた厚生労働省労働基準局長通達「神経系統の機能または精神の障害に関する障害等級認定基準について(平成15年8月8日基発第08080002号)」に定められた基準を満たすか否かにかかってきます。
具体的には、
- 間接拘縮
- 骨の萎縮
- 皮膚の変化(皮膚温の変化,皮膚の萎縮)
という主要な3つのいずれの症状(これを「3要件」といいます。)も健側(交通事故による損傷を受けていない側)と比較して 明らかに認められるかどうかが問題となります。
2. 診断基準を巡る問題
CRPSの認定において,医療分野の診断基準は自賠責保険の等級認定基準と異なり,上記3要件の一つである「(2)骨の萎縮」が含まれていません。
このため,交通事故の被害者が,担当医師から医療分野の確定診断としてCRPSの確定診断を受けたにもかかわらず,自賠責保険ではCRPSの認定基準をクリアしないという場合が出てきます。
ですので,交通事故による受傷でCRPSが疑われる症状が出ている場合は,医師の診断の段階で「骨の萎縮」も含めて診察してもらうことが重要となると思われます。